燐火 【絵】冴條玲

■ 狐 ■

 ふいに、笛の音が途切れた。
 燐火が大岩を下り、梢のもとへと歩み寄ってくる。
「燐火さま?」
 コッ
 何か、地に落ちた。
 笛――?
 次の瞬間、梢は燐火に抱き締められていた。
「死にたくない――」
 燐火の苦しげな声が、すぐ耳元で聞こえた。
【本文抜粋】