「でも、ありがとう。一番大事なもの、ちゃんと選んでくれたんだね」
鏡を取って、梓がにっこり笑った。両親の形見の手鏡だ。
「代えがきかないものを詰めたんだ。なのに、随分な言いぐさだな」
「だって、壁掛けなんて持ち出そうとするし。あんなの、何度でも織れるのに」
「そんなのわからない。梓は私があげた水晶、とっさに捨てるのか?」
梓は瞬きした。それから笑った。
「捨てない。だって、私もサバイバルで生き残れないタイプだもん」
沙羅のくすくす笑いと、梓のほこほこ笑い。
やがて街道に馬車が姿を現すと、二人は楽しげにそれに乗り込んだ。
【本文抜粋】
色遣いがとても気に入っています♪
優しくて可愛い雰囲気が、物語に合っていて素敵ですv(*´▽`*)
絵里子様、ありがとうございました。